癌についての情報

がん再発防止について

再発防止の環境作り

一度目のがんとの闘いが終わり、社会復帰を果たされた皆さんは、すぐに二度目の闘いを始める必要があります。がんが発生する原因を逆に取った対処法を考えて行きましょう。

発がん物質と接触にしない

まず最初は、不可能なことです。

放射線・紫外線・化学物質・ウイルス、私たちの周囲には微量な発がん物質は数えきれないほど存在します。1986年起きチェルノブイリ原子力発電所事故によって大気中に放出された放射能汚染物質は、今でも雨に混じって少しずつ地表に降り注いでいますし、自然現象である火山爆発によって大気中に放出された化学物質も同じです。自動車メーカー各社や工場の環境管理担当者の努力によって排気ガスやばい煙による大気汚染は減少していますがゼロにするにはまだ数十年掛かるでしょう。私たちは発がん性物質と一切の接触を断つのは不可能なのです。

しかし、「ドウル博士らによる発がん原因の分類」を思い出してください。発がん原因の中で、これら化学物質などが占める割合は、15%にすぎないのです。発がん原因の第一位は、食生活、第二位は喫煙、これにアルコール(飲酒)を加えると70%弱に及ぶのです。食生活の改善や禁煙なら明日からでも可能です。

禁煙

信じがたいことですが、昔はガンセンターの中にタバコの自動販売機があったり、患者さんや見舞客用の喫煙室があったりしたのですが、タバコの害が明確になり、広告の規制や分煙・禁煙施設が増えるにしたがって、医療機関や公共施設での喫煙が禁止されるようになりました。一部の地域では歩行中も禁煙を呼びかけ条例で規制を設けているところもあります。タバコは吸っている本人ばかりでなく、副流煙によって近くにいる人にも害が及ぶわけですから、これは当然の処置です。アメリカでは上司の喫煙による副流煙で、自分ががんになってしまったのだから、その責任は上司と禁煙にしなかった会社にあるという損害賠償請求告訴が起きているぐらいです。タバコは自分だけでなく他人もがんにするものだと思ってください。

まず第一に自宅・職場、貴女の周りを全て禁煙にしてください。タバコを吸われない方や禁煙を実行された方が、喫煙場所以外でタバコを吸う方に出会った場合、そこが禁煙でなくでもはっきりと伝えなくてはいけません。

「私は、一度がんになっています。タバコの煙は発がん性が強いので、再発防止のため吸い込まれないように言われています。申し訳ございませんが、タバコを遠慮していただけませんか?」ここまで言って、平気でタバコを吸い続ける人はいないと思います。

再発防止の食生活

動物性エストロゲンを避ける

食生活が欧米化するに連れ、乳がん・子宮がん・前立腺がんといったエストロゲンの影響によって発症率が上がるがんが急激に増加しています。40代から60代前半の患者さんの他、最近では30代の患者さんも増えています。戦後、給食で牛乳が出るようになり、牛肉や豚肉などを普通に食べられるようになった世代です。

「肉類は脂質が多いので解るが、牛乳はタンパク質やカルシウムも多く含まれていて健康に良いはずだ!」と、おっしゃる方もいるでしょう。しかし、肉類ばかりでなく牛乳の中にも動物性エストロゲンは私たち人間も持っているホルモンですが、過剰に供給されると発がん性があるのです。

カルシウムの補給

では、私たち日本人は牛乳があまり無かった時代は、何でカルシウムを補給していたのでしょうか?その当時は、日本近海で採れるいわし・きびなご・干しエビ等の魚やドジョウ・ヒジキ・ナズナ等の山菜から充分に補給できていたのです。ちなみに、コップ一杯強の牛乳250ミリリットルに含まれるカルシウムは325ミリグラム、ヒジキ1000グラムには1400ミリグラム、イワシ二匹には700ミリグラムのカルシウムが含まれています。

新鮮な野菜と果物

野菜は抗酸化物質を豊富に含む物が数多くあります。根菜類からトマトやピーマン・なす・果物など色々な種類をたくさん取りましょう。野菜や果物には食物繊維やビタミン・ミネラルが豊富です。私はベジタリアンを強請するわけではありませんが、肉類5%・魚類15%・穀物&豆類30%・残り50%が、野菜・果物・海藻という割合の食事を心掛けてください。

日本人の知恵「大豆」

日本は世界でも有数の大豆消費国ですが、最近その勢いが衰えているようです。大豆は煮豆などでそのまま食べてもよいですし、豆腐・豆乳・納豆など加工した場合も高蛋白・低カロリー・豊富な抗酸化物質や抗血栓物質を含んでいます。吸収も良いので、主食のご飯、やパンの代わりに豆腐という方法もあります。

海藻類

海藻類は、抗血栓作用・血圧の低下作用・コレステロール低下作用・抗腫瘍作用などがあります。沖縄県の海藻類消費量は全国一位ですが、各種成人病が少ないのは南国のおおらかさでストレスが少ないということだけでは無いようです。海藻のヌルヌル成分のフコイダンには、がん細胞の自然死(アポトーシス)作用・免疫力増強作用・がん細胞の血管新生抑制作用等の抗腫瘍作用がありますし、食物繊維にはコレステロール低下作用等があります。沖縄の毎日の食卓に上るもずく・コンブといった海草類の効果が、がん発生率の低さや長寿に影響していると考えられます。

キノコは不思議な食べ物

椎茸・松茸・シメジ・ナメコ・マイタケ・エノキダケ・エリンギ他日本人はキノコを多く食べる人種です。キノコはアガリクスに含まれるβグルカンのように抗腫瘍作用が期待できる成分が多く含まれています。ごま油で炒めたり、混ぜご飯や、煮物にしたりと調理方法もバラエテイーに富みます。

再発防止の食生活は?

肉類もお好みで取り入れて、新鮮な野菜・果物・豆・海藻・魚をバランスよく食べます。牛乳の代用であれば、豆乳があります。最近では豆乳で出来たヨーグルトなどもありますから乳酸菌の補給には困らないと思います。そして、一つの物に偏って食べるということも授与です。たとえがんの再発予防に有効性が認められる成分が入ってもそれだけを食べていたら体内のバランスが崩れてしまいます。

もう一言加えるならば、素材は旬の物を形のままで買うように努めてください。中国輸入された加工済みほうれん草から、多量の残留農薬が検出されたように、加工が加わっていればいるほど本来の成分は失われ、逆に添加物が加わってしまう可能性が高いのです

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